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〜 その3 モノの始まりが一ならば、夢の始まりはオタクなココロ 〜
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ありんっ! |
な、なんだいきなり? |
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ん〜ん、なんでもない。なんだか少し叫んでみたくなっただけ。 |
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そんなことより始まりました、騒動魔女長談義三回目。今日のテーマは
ズバリ、魔女です! 前回は陰陽師のジミーなお話だったけどね、今年
最後の更新となる今日はもう、素敵なゲストをお呼びしての素敵な長談
義なんです! |
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ではさっそくご登場願いましょう。海底界ティオ・フェリスの誇るアイ
ドル・オブ・アイドル。アクア・シープ・シールさんです!
はくしゅーっ! |
♪わたしあなたのォ、フィギュアにィ〜なりたぁい〜〜……はいどーも!
みんなのアイドル、アクアです。残りわずかとなった今年ですが、もう
ね、ガンガン盛り上げてっちゃいますから、サクラコちゃんもしっかり
ついてきて下さいね〜っ! |
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あっと、私、先日友達とすき焼き食べに行ったンです、すき焼き。都内
でも有名でね、霜降りのすっごいお肉を出してくれるけっこう贅沢なと
ころなのね。卵なんてね、あれ一個で400クロチって言ってたかな、
とにかくね、濃厚でスーペリアなお味なのですヨ。わりとさっぱりめの
割り下とよくからんでねぇ、もぉ〜〜〜〜サイコーって感じ。イやほん
と、牛だけに。 |
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でね、お肉もいいんだけど私、けっこうお野菜好きなのよ。ネギとかシュ
ンギクとか茸とか、たまに白菜なんかもいれちゃうのね。だけどその日
に限ってはなんかトマトなんか出てきちゃって、一体何に使うのかな〜
なんて思ってたら店のヒト、突然鍋の中にどっばどば入れちゃうじゃな
い。うわーっ!? て思ってたらその彼がね、言うの。今年の流行りで
めちゃくちゃ美味しいからって。 |
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いやいやいやいや、美味しいとか不味いとかじゃなくて、わたしトマト
ちょー嫌いなんですけど! 一体なんてコトしちゃってくれてンのこの
ヒト……って、こらーーーーーーーっ! |
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わあっ!? |
な、なんだヨ!? |
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なんだじゃないわ! アンタたち、これは一体どーゆーつもりなの?
今回が初登場の新人のクセに、なんだっていきなりコーナーなんか持っ
てるのよ! |
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……前フリ長いだろ。 |
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い いえ、大抜擢ということ以外、わたしもよく知りませんけどぉ。
なにかお気に障りました? |
気に障る? 海底界ティオ・フェリスの国民的アイドルであるこのア
クアを出し抜いておいて、一体どの口で言ってるのかしら! だいた
いね、あのスチルはなんなのっ!? |
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ああ、あれは前回から置いてあるんです。ちょっとした配慮だそうですが。 |
配慮ォ!? あれのどこが配慮よ。あんなスミッコにおいて、うすぐ
らくして! なんだか片づけ忘れた小道具みたいになってンじゃない
のよ。だいいちどーして顔抜いてあンのっ!? |
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え、顔はめて記念撮影するためじゃないンですか?
わたしさっき、写メ撮ってもらいました! ほらっ。 |
書き割りィ!? 私はご当地キャラかっ!
……ん!? こ、ここ、これはなに? 右下のほう!? |
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ああ、それ生き霊ですねェ。怨霊の一種です。
でも心配はご無用ですよ? だってわたし、陰陽師ですもん。
こわくないです。 |
で、でもこれ、私の手じゃない……!? |
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あ。せっかくだから、アクアさんも一枚…… |
撮るかっ! いいからそれもー、片づけておいてちょうだい。ゲスト本
人の前にそんなもの置いておくのがどーいう配慮か知りませんけどね、
目障りよ! |
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じぶんなのに。
……ね、うるちクン。アクアさんたらちょっと、ご機嫌斜めなようね。 |
だから言ったろ、どやされるって。 |
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……なんか言った? |
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あ! いえいえ、なんでもありません〜! それより本物はやっぱり素
敵ですねぇ。背ェ高くてキレイで、それに顔ちっちゃくてスタイルも抜
群で髪なんてまるでシルク! うわぁ〜、感激だなあ。本物の魔女に会
えるなんて夢みたい! |
魔女じゃなくてアイドル。少なくともカメラの前ではそーゆーことになっ
てるの。 |
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そ、そうなんですか。えへへ、それは知りませんでした。
あ、でもいいんです。アイドルでもバラドルでも、たとえ、V型感染症
の療養中ラ○カさんに出し抜かれてひどいことになったシェ○ルさんみ
たいでも、アクアさんがわたしの憧れであるのは変わらないンですから!
キラッ! |
……なんだかわからないけど、私は元気よ。 |
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そうですか、よかった! なら安心です。実を言うとですね、わたし、
アクアさんに教えて欲しいコトがあるんですよ。 |
教えて欲しいコト? |
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ええ。わたし、本当は魔女になりたいんです! 豊かな才能でたくさん
の人に夢と希望を分けてあげているアクアさんのような、素敵な魔法少
女になるのが夢なんですね! |
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どうしたらなれますかっ? |
オレは陰陽師のほうがカッコいいと思うけどなァ。 |
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……魔法少女ねぇ。 |
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そ! アニメみたいに可愛い杖持って呪文唱えて変身して、そして可憐
に悪をやっつけるリリカルな魔法少女に…… |
あー、それ難しい。 |
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ぁえっ!? |
ってゆーか、たぶんムリ。 |
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ムリぃ!? う、う、うそっ、どど、どーしてですかっ!?
やっぱり陰陽師じゃだめですか……ダサいですかっ!? |
ださくねえ! |
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あ、いえね。それについてはあなたが悪いんじゃないのよサクラコちゃ
ん。なんていうか、世界の問題なの。平たく言うとこのゲーム、そうい
うのナスィング。 |
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え? なす!? そんなバカな!? だってトップの製品情報には「魔
女の錬金シューティング」ってはっきりと…… |
それプリルちゃんだけだから。まだ見習いでちょっと頼りないんだけど、
あのコは正真正銘、ホンモノの魔女っ子よ? それに私だって天才魔法
アイドルを名乗っているわけだし、本業ではないにせよ、そこいらの魔
女よりずっと心得だってある。だからウソではない。 |
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でもね、変身するとはどこにも書いてないわ。そもそも変身なんてしな
いし出来ないし、やることって言ったらホウキかなんかに乗って杖の先
からバンバン弾撃ってどっかんどっかんモノ壊すだけね。それに魔法陣
張ったってやられる時はやられるし、痛いし落ちるし、夢を壊すようで
悪いけど、そんなファンタジー&ドリーミーな世界だと思ってたら大間
違いなのよ? |
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大間違い……ですか? |
そお。それにね、ここだけのハナシ、あとの連中は全員魔女じゃないの。
なんていうかこう、クセがあるっていうの? 魔法は使えるけれど、そ
れ以外のトコがなんか、ダメみたいな。 |
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ダメと言うとなんだ? |
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まずユーキ。ツンデレ魔女だなんて言ってるけど、あれはただのワガマ
マ娘ね。そのうえこれがまたえらく凶暴で、思い通りにいかないとす〜
ぐ大暴れ。なにかにつけてシモベの豚さん血ダルマよ。そのクセひどい
甘ったれでね、変身どころか、一人じゃ着替えだって出来ないンじゃな
い? 一体どーいう教育されてんのかしら。 |
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で、でも、ツインテール属性としては正しい気がする……。 |
それにルイなんてなんだと思う? 根なし草魔女よ、ねなしぐさ! な
んじゃそりゃって思わない? まあ、見た通りセコイしお金にはあざと
いし、とあるショーソクスジによれば、なんだかとんでもない額の借金
に追われているらしいのね。リリカルな魔女ってよりも、他聞を憚る身
の上って感じよ。 |
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……マジかよ。 |
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わ、わたしはアリだと思うなァ! セコキャラってゆうの? 関西弁だ
しハリセン持ってるし、わりと欠かせない萌え属性よね。 |
は。不良債務者のなにが萌えるのよ。お尻に火がついてるってコト? |
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なんにしても、トラブルウィッチとしては申し分なさそうだ。 |
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そうね。でも残りの連中にいたっては、魔女を名乗ってすらいないわよ。
「妖精の国のお姫様」っていうのはシンフィーさんのことだけどね、こ
れがどーゆーわけかいつも寝てるだけ。すっごいのよ? 耳元で叫ぼう
がほっぺたツネろうが起きないんだから。なんだかドラウプニールにも
興味なさそうだし、ホント、なにしに来たのか不明。 |
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ケモミミっていうのはそれだけで正義なんです! |
ラーヤはかの有名なアークトゥルス王の姪っ子ね。なのに毎日踊って遊
び呆けてるンだって。だけど内心では家事の一つもできないことをやま
しく思ってるンだけど、やっぱりなんにも出来ないもんだから結局、食っ
ちゃね食っちゃねしてるらしいわ。それでついた呼び名がなんと「ノン
ポリのほほん皇女」。支持率低そーっていうか、本人はどう思ってるの
かしら。 |
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冷めたピザってバカにされながら、ピザ持って週刊誌の表紙になった首
相もいるわ。 |
そして極めつけは極貧大司教のコノンちゃん。なんたって極貧よ、ゴク
ヒン! もうね、うやまっていいんだか憐れんでいいんだか! 事実、
相当切羽詰まってるらしくてね、なにをするにしてもガムシャラなの。
信仰過ぎて極楽通り越すって言うけれど、あのままだとあのコ、どこま
で通り過ぎて行っちゃうかワカったもンじゃないわよ? そだ、あなた
止めてあげなさいよ!
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それよりちゃんとうやまって、みんなで寄進してあげましょうよ! |
イヤよう。だってコノンちゃん、なんだかイヤな気配がするもの。あの
コが崇拝してるのって実は、別の悪魔なんじゃないかって、私は思ってる。 |
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そんな! |
触らぬ神にたたりなしってヤツだな。 |
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そおゆうこと。
ね。これでわかったでしょ? いくら魔女っていっても所詮は人間、ア
ニメの世界のキャラクターにはなれないの。出来ないことは出来ないし、
みんなそれなりに現実を生きてそれなりに切実なのよ。だからサクラコ
ちゃんもね、みょーな期待なんてしてないで早いとこ帰ったほうがいいわ。 |
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……やだ。わたし、そんなの信じません。 |
サクラコ。道理が耳に逆らう気持ちもわかるが、先輩の言うことは素直
に聞くもんだぞ。 |
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そうよ。私はね、本当のことを言ってるの。輝かしい将来の約束されて
いるあなたのためを思って心を鬼にして…… |
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ウソよ!
それじゃ聞きますけど、アクアさんの目的はどーなんですか? 海底界
ティオ・フェリスの誇るアイドル・オブ・アイドルの目的まで、よもや
そんな世知辛いわけありませんよねえ!? |
ぅえ!? わ、私?
……あははは。そ、そんなわけないじゃない。 |
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だったらちゃんと教えてください。わたしの輝かしい将来像の参考にさ
せてもらいますので。 |
え、遠大すぎて参考になんかならないわ。ってゆーか、私のことはどー
でもよくない? |
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あ、やっぱりウソですか? そーゆーデタラメを言ってわたしを絶望さ
せて、そのスキにこのコーナーを乗っ取ろうとか思ってるんでしょ! |
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……ち。さすがは陰陽師。バレたら仕方ないわね。 |
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えっ、ずぼし!? |
ふふん! 天才子役としての華々しいデビューから十五年。国民的アイド
ルとして定着したはいいけれど、持ち前のサービス精神が災いして今やお
笑い芸人と同列で評されるようになってしまったこのアクアの目的はつま
り! ……芸能界での再起! |
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さ、さいき? |
ずっと頑張ってきたの。先輩たちのイビリに堪え、時にやり返し、そりゃ
もう必死に。私を見て喜んでくれる人のため、朝な夕なに美貌を磨いて寸
暇を惜しんでまで努力してきた。なのに近ごろときたらみんな私をお笑い
だと思ってる。新曲のオファーは全部後輩に持ってかれるし、バラエティー
じゃ最近は私のほうがバーターひな壇だし、もうやんなっちゃう! |
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でもね、ドラウプニール討伐だけは誰にも譲らないわ。だってこれは、今
や落ち目の私にとって千載一遇のチャンスだもの。無事に済ましさえすれ
ばみんな、きっとまた振り向いてくれる。そうすればグラビアもドラマも
映画もきっとオファーをくれる! そうして私は再び、芸能界の頂点に返
り咲けるのよ! あ〜っはっはっはっは! |
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が、崖っぷちアイドル…… |
こいつぁまた、えらく世知辛いじゃねえか。 |
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……そうよ。世間は甘くないの。魔女だからって夢に逃げ込めると思った
ら大間違いよ! ワカったらこのコーナー、わたしに譲りなさい。 |
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えっ!? あっ、ど、どーしよっかな〜……。 |
そしたらモンゴメリーさん紹介してあげるから。元祖魔法少女よ? |
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それ、奥さまでしょ! そーゆー古いネタばっかり言ってるから見放され
ちゃうのよ! |
いいからちょうだい! 素人にまで出番取られたら私、浮かぶ瀬もない。 |
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ちょっと待ってください。今、気持ちの整理してますから。 |
……あげなよ。 |
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というわけで陰陽師でした〜。
年の瀬だって言うのに、とりとめもなくイヤな話でしたね! でもこれが
現実です。夢を叶えたいなら夢に逃げ込んでばかりいてはダメなのでしょ
う。アクアさんはきっと、身をもってそれをわたしたちに教えてくれたん
です。そーに違いありませんっ! |
でもおまえ、あきらめないだろ? |
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当たりまえよ。世間様ではどうだか知らないけれど、ホンモノのオタクは
好きなことしかしないの。現実なんてクソクラエだわ! |
まあ、はしたない! |
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それでは来年が、皆さまの夢が叶ういい歳であることを願いつつ、
さようなら〜。また来年もよろしくね〜! |
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