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~ その11 長い冬 ~
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はしごの亡霊…… |
え? |
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あるところに、平屋なんだけど中二階のあるヘンテコなおうちがありまし
た。そこにはおじいさんとおばあさんが住んでおり、だけどもどうやら中
二階へ上がるための階段がないらしく、いつもおじいさんが喚いていまし
た。 |
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ばあさんや、はやくハシゴのぼーれー。 |
……は? |
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さて始まりました、騒動魔女長談義十回目。
つい先日、お庭に出たら梅の
花が咲いているんです。ああ~、もうこんな時期なんだなあなんて思って
たら次の日雪ですよ。しかも近年まれにみる大雪。どどんと30センチ
です、30センチ! いやー遊んだ遊んだ。一人雪だるまに一人雪合戦!
もう十回目を迎えるというのに、まだまだ冬なんですねえ! |
……最近はずいぶん、あったかくなったけどな。 |
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いやいやいや、そんなことない。まだまだすっごく寒くなる。というわけ
で今日は特別企画。真冬の怪談話スペシャル「そして戦慄の冬が来た」で
す! 陰陽師はね~、怖い話、いっぱい知ってるんですよぉ。ぞくぞくしちゃ
いますよ~! |
イヤもう春…… |
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戦慄そのいちっ! |
………………………… |
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これは以前、とあるゲームソフト会社に勤めている知り合いのおじさんか
ら直接聞いた、本当のお話しです。その会社は、高層ビルの立ち並ぶ都会
を遠くに望む、どちらかといえば古臭い感じのする郊外にあり、戦後の高
度経済成長期に建てられてそれきり補修も清掃もされていないような、すっ
かり薄汚れた小さなビルのワンフロアで昼夜を問わず、コンシューマーゲー
ム開発を行っていたワリと古株のトコだったそうです。 |
またゲームのハナシ? |
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ゲーム会社のはなし。しかも薄汚れているのは外見のみならず、タバコの
ヤニで黄色くなった部屋の壁はしみだらけで天井はカビだらけ。窓は小さ
いし一部の蛍光灯なんかは切れたまま交換もされず、機材や資料がうずた
かく積まれて雑然とした開発室はどよ~んとしてて、なんだかいつでも誰
かに見られているような、いや~な気配が立ち込めていたそうです。 |
気配はともかく、社員が男ばっかだとそうなるんだよな。 |
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そのうえ来る日も来る日も仕事に追われてみんないつだって困憊ぎみだっ
たみたいです。わたしが話を聞いたそのころは、とある有名アニメのゲー
ム化ということでキャラクターのグラフィックを描いてたらしいですけど、
大手出版社だったクライアントのチェックが異常に厳しくて無茶ばっかり
言われてたンですって。まあよくあることらしいンですけどね、ただ業界
に長くいるだけであんまり仕事をしない人が向こうの担当だったらしくて、
大した指示ももらえずに毎日毎日リテークリテークで、その知り合いのい
るグラフィックチームの人はみんな困ってたみたいです。ろくに食事もと
らないで寝ずに働いてもうみんな限界でね、だけどある日やっぱり、その
日の夜12時までにやらなきゃいけないヤバげなリテークが来ちゃって、
仕方ないので会社に泊まり込んでたその夜に、それは起きたんですって。 |
それ? |
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そお。不可解なこと。もうね、誰にも説明できないような、ふしぎで怖い
こと。 |
もったいぶるなよ。 |
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えとね、リテーク内容はともかく、その日はクライアントの担当がなんだ
か不機嫌でものすごく怖かったんですって。だからこれはもうすぐに描き
直さないとヤバいぞと。もう必死にね。
そしてそれがやっと終了した夜中
の12時ぴったり、完成したリテークデータをメールに添付して送ったそ
うです。知り合いの人も、ああこれで大丈夫だと一息ついて、そのまま机
に突っ伏して寝ちゃったンですね。誰もいない不気味な開発室の片隅で。
もちろん一人でね。 それから2時間ほど経ったでしょうか。なんか電話が
鳴ってるんですよ、でんわ。草木も眠る丑三つ時に。それで目を覚ました
知り合いの人もね、こんな時間になんだろうと思って、まあでも他に誰も
いないし、とりあえず出たンですって。そしたら電話の主はそのおっかな
い担当で、だけどもなんだか神妙な声で、すっごい静かにこう言ったンで
すって。 |
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……リテーク検収の結果はOKだ。大変良くなった。期待しているから以
後も頑張ってほしい。
それ聞いてね、知り合いの人もああよかったって、電話に向かってぺこ
ぺこ頭下げたんだって。 |
一見落着じゃねえか。なにが怖いんだ。 |
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ううん。怖いのはこのあと。それから数日はね、目立ったリテークも変更
もなくて、比較的平穏な日々が続いたんです。担当からはあれきり連絡も
ないし、最近はいいなぁ~……なんて思ってたらなんかちょっと懐かしく
なって、最後に送ったあのメールを見返してみたくなったンですって。戦々
兢々として対応した、あのリテークデータをね。だからブラウザ開いて日
にちを遡って、そしてメール取り出して添付データ開いてみたらなんと……
奇妙なことにそれは間違いなく、リテーク前のものだったンだって。 |
は? だってOK出たんだろ? それじゃおかしいじゃねえか。 |
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そお。だから知り合いの人もそう思って慌てていろいろ調べたんだけどね、
だけどどこをどう調べても、その添付データはリテーク前のものだったン
だって。社内の誰に聞いても、これはもう寝ぼけて添付するモノ間違えた
としか思えないって言われて、でもそれじゃあの時、担当はどうしてOK
出したのか……一体なにを見てあんなに落ち着いていたのかワカんなくて、
するとだんだん怖くなってきて、だけど今さら担当に電話して確認するの
も恐ろしくて出来なくて、だから真相はいまだに闇の中で誰にもワカんな
いンだって。これって変でしょ。なんかすごい怖くない? |
というか、まさかそれだけ? |
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まさかってなによ。不可解でしょう? だって話によるとものすっごいおっ
かない担当なのよ? |
いや、だからあんまり仕事をしないンだろ? ならそれも適当だったンじゃ
ねえのか? そんなの世の中にはいっぱいいるぜ。それよかいや~な気
配ってのはなんだったンだ? いつでも誰かに見られてるようなってのは
結局関係ないのかよ。 |
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担当のことじゃないの? だからさ、怖いでしょ? ゾッとしない? |
怖いっていうかヤだよ。ゾッともしねえイヤな話だ。 |
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ふうん。キモの太い犬よね。 じゃあ次。戦慄そのに。 |
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これもね、とあるゲーム会社のお話なんだけどね、その会社は高層ビルの
立ち並ぶ都会を遠くに望む、どちらかといえば古臭い感じのする郊外にあっ
てね、戦後の高度経済成長期に建てられてそれきり補修も清掃もされてい
ないような…… |
同じ会社? |
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違うンだけど、気分よ気分。まあでもいいわ。それじゃ省きまーす。 |
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その会社はね、とある偉いマンガ家原作の有名アニメをゲーム化する仕事
をしていたわけ。クライアントも同じように大手出版社でね、だけどそこ
はグラフィックリソースの検収を、社内担当じゃなくて原作者の先生に任
せることにしたの。なにしろ昔からやってる偉い先生だからね、作品には
万全を期すとしてもその出来に失礼がないよう念のため、アドバイザーと
して立てておくってことにしたのね。だからプロダクトも初めからピリピ
リムードで、まあでも仕事はワリとスムーズに行っててね、これならいい
ゲームになるなあなんて、その時はみんなそう思ってたンだって。 |
ああ、なんだかちょっと怖い気がする。 |
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ワカる? んでね、ゲームの企画方針も決まって仕様も固まってね、ベー
スプログラムの工数も問題なく消化しつつあって、それじゃいよいよ他リ
ソースやキービジュアルのイメージを決めていこうじゃないってことになっ
たンだって。その案件のグラフィックチーフだったのがわたしの知り合い
なんだけどね、でも超が付く有名なタイトルだし、それに傷をつけるよう
なことがあっちゃいけないぞと大事を取って、クライアントと打ち合わせ
をすることになったの。そしてなんと、その打ち合わせにはね、原作者の
先生も来るから、ワカんないことあったら直接訊けと、そんなふうになっ
たわけ。その知り合いの人もね、もう大緊張よ。何しろ大御所ですもの。
嬉しいような怖いような、アンビバレントな感じっていうの? |
まあなんとなくわかるけど。 |
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でね、打ち合わせ当日、緊張しつつも議事は恙無く進行してね、いざ、そ
の偉い先生にご意見を求めたらこれがまた見た目よりずっと気さくな人だっ
たらしくて、いろいろお話して聞かせてくれたんだって。何しろ古いアニ
メだしね、設定が甘いよね~……なぁんて仰いながら、キャラ設定の細か
なところを丁寧に教えてくれてね、終いには打ち合わせ資料の裏紙に先生
自らキャラ設定の絵まで描いてくれちゃって、それをコピーして色稿の元
絵にしなさいって言うんだって! それで打ち合わせは終了したンだけど
ね、何しろ直筆の資料よ、直筆。もうお宝でしょ。畏れ多いやら嬉しいや
らでさっそく社に持ち帰って、仰せの通りにコピー取って、それにコピッ
クで色付けて色稿をたくさん作ったンですって。 |
コピック? |
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だってもう、15年も前のお話らしいの。当時はタブレットなんてなくて
ねって、言ってた。 |
それじゃずいぶんおっさんじゃねえか。おまえの知り合いって誰だよ。 |
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おとーさんの友だちよぉ。今はもう偉い人。
んで、それからしばらく経って色稿も出来てね、いろいろと決まったから
もう一度、先生にご意見を伺おうってことになったンだって。その頃には
だいぶ緊張も解けてて、じゃあ打ち合わせのあとマネージャーさん共々お
食事でも~、なぁんてお話になってたりしててね、なんだかいいムードで
始まったのね、ミーティング。仕様書を配って決まったこと伝えて、そ
して最後にキャラクターの色稿出して、そのうちのどれがいいか先生に決
めてもらおうとしたンだって。そしたらよ? |
うん。 |
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その先生ね、色稿手にとるや否や突然黙っちゃったんだって。それまです
ごい気さくに話してくれてたのに、いきなり口をへの字にしちゃって明ら
かに不機嫌なんですって。うわ、なんだ、どーしたんだ!? ……って思っ
て知り合いの人が恐る恐る訊いたらね、色はともかく絵が気に入らないっ
て言うンだって。大事なキャラなのに、こんなラフみたいな絵を見せられ
て、なんと答えていいか分からないって。一体誰がこんなもの描いたンだっ
て、終いには怒っちゃったんだって! |
はあ? だってそれ直筆だろ? お宝じゃねえのか? |
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そおなのよ。不可解でしょう? しかももっと怖いことにはね、まあみん
なしてその場は取りつくろってミーティングは終了したンだけど、そのあ
との会食には先生、結局来なかったってこと。急に体調が悪くなったって
言って、ハイヤーに乗って帰っちゃったみたいよ? 先生のマネージャー
さんによればね、先生はご多忙だからってことらしいけど、やっぱ怖いわ
よねえ。 |
いやまあ怖いけどよ。でもそりゃちょっと違うだろ。どっちかっていや業
界よもやま話じゃねえか。 |
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えー、初めて聞いたときわたし、うわぁ~ヤダな~って思ったけどぉ。 |
そりゃヤだけどさあ。だからそうじゃなくて怪談ならもっとこう、背筋が
ゾッとするような、ちゃんとしたのにしてくれよ。 |
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ゾッとするじゃん。なによ。 それじゃぷち戦慄。排気口の血。 |
そうそう、そういうのさ。 |
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その昔、ポータブルゲーム機がまだ白黒二色だったころ、マサカドの首塚
の近くに小さなソフト屋があったの。そこそこ人気のあるソフトをいくつ
か作ってて、弱小無名ながらも結構忙しくて、加えて人もあんまりいない
ものだから、みんなしょっちゅう徹夜してたのね。ちょうどその時も、と
ある人気マンガタイトルのゲーム化ってことで忙しくて、そのマスターアップ
前なんかは一月も家へ帰らない人だっていたみたい。幸いにしておふろも
ベッドもあるものだからね、泊まり込みッてよりは住み込みって感じで、まあ
んまり不自由はなかったみたいなのね。 |
……おまえ、そんなハナシばっかな。
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まあね。それで締めきりの日、なんとかマスター版を送ってね、程なくし
て認証受けて、やった終わった! ってことになったンだって。もちろん
みんな喜んで、それじゃあ打ち上げだ! って近所の飲み屋へ行ってね、
そこで苦労話して美味しいもの食べてお酒飲んで、そりゃもう浮かれてた
ンだって。だけどその中にね、一人だけ浮かない顔してる人がいたの。メ
インプログラムの人。すごくまじめで、冗談とか通じない人らしいんだけ
どね、その人が突然顔を青くして言うんだって。 |
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……会社のフロ場は呪われている。排気口から血が……真っ赤な血が
しょっちゅう流れてきた。だからなんどもシャワーで流した……って。 |
排気口から? 人の血? |
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わかんない。でもね、他のみんなはそんなの見たことないんだって。どう
してかといえば、その人がいちいちシャワーで流してたからだって言うの
ね。……っていうか、みんなのおフロなのにどーしてそんな不気味なこと
黙ってンの、みたいなことになってね、それで聞いたら、誰かが怖がって
会社を辞めでもしたらソフト完成しないから黙ってたンだって。 |
酔ってのことじゃないのかね。 |
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そおね。わたしも聞いた話だし、真偽のほどは定かじゃないわ。でもね、
ソフト完成を優先して怖いの我慢してるくらいの人よ? そんなまじめな
人が、いたずらに人を怖がらせて楽しむようなことはしないだろうなって
いうのが、もっぱらのハナシだったわ。結局原因はワカってないけど。 |
ならきっと悪鬼か何かがいたずらしたンだろうけどな、まあ怪談らしいハ
ナシじゃないか。 |
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そお? たかが血じゃん。排気口にネズミかなんが入って、換気ファンに
でも触れちゃったんじゃないの? 血を流すって、悪鬼だってそんなつま
ンないことしないわよ。ちっとも怖くないわ。 |
ドライだねえ、おまえ。 |
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陰陽師だもん。それより戦慄そのさんよ、そのさん。逃げたクセによく会
う男! |
まだあるのかよォ。 |
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ずっと昔、CDロムを搭載したパソコンが出始めた頃、わたしの知り合い
のおじさんがとある会社でシューティングゲームを作っていました。でも
ちょっと大作で工数が多くてね、なのにプログラマが一人しかいなくて、
しかもその人あんまりやる気のない人で、ある日ついにヤんなって会社来
なくなっちゃったンだって。その知り合いも社長もみんなでその人のアパー
トに行って張り込んだりもしたらしいんだけど、でも結局それきり捕まら
なくてね、仕方がないのでプロジェクトは一時中止、もう諦めるほかないっ
てみんな思ってたわけ。 |
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なのに社長が知り合いに言うんだって。なんとか作り上げてくれないかっ
て。プログラマもいないしもうお金もないのに、なんとかしてくれないかっ
て、しきりに頼むんですって。でも知り合いは企画屋でプログラマじゃな
いから当然ムリなわけよ。そりゃね、自分で考えたゲームだし作り上げた
いのは山々だけど、でもまあそりゃ無茶ってものでしょ。だから断らざる
を得なくてね、しかもそしたら社長ともずいぶん険悪になっちゃって、そ
れで会社も辞めちゃったンだって。 |
世知辛いだけで怖くもなんともねえ。 |
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これからよ。それから半年くらい経ったある日、新しい会社に入って別の
仕事してたその知り合いのトコにね、前の会社の社長から電話が来たの。
前に作ってたシューティングを完成させるめどがついたから協力してほし
いって。まあ知り合いもそれならってね、とりあえず社長に言われた通り、
新しく引き受けてくれる会社へ挨拶に行ったんだって。そしたらね…… |
そこに逃げたプログラマがいたってンだろ、奇遇にも。
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あれ? 知ってたうるちクン。前にしたっけこのハナシ。あのときは逃げ
ちゃったけど、今度こそまじめにやって必ず完成させるからって言われた
次の日にはまた逃げちゃったってことも?
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ああいや、オレはただ、あてずっぽうで言ってみただけなんだが……どう
しようもねえヤツだな、そいつは。 |
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なによぅ。適当なコト言わないで。
そおなの。どうしようもないの。でね、プログラマ二度目の逃亡後、それ
からしばらく経ってから今度はその新しく引き受けてくれるって言ったト
コの社長が気にしちゃったみたいでね、それで別の会社でいいトコあるか
らって、紹介してくれることになったの。知り合いのおじさんはもうなん
だかどうでもよかったみたいだけど、まあせっかくだから言われた通り、
紹介先へ行ってみたンだって。そしたらよ? なんとそこにいたのはまた
しても逃げた男! しかもそいつ、いい仕事があるからって急きょ雇われ
たらしいンだけどね、それがそのシューティングだって知って、今度はそ
の場から走って逃げちゃったンだって。みんなあんぐりよ。ぽか~んて。 |
一度逃げグセがつくと、もうダメだって言うしな。 |
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そおね。でも怖いのはこの先なの。プログラマが走って逃げちゃったもん
だから打ち合わせもそこでおしまいになってね、知り合いの人もなんだか
憤懣やるかたないままお家に帰ることにしたの。タクシー乗って電車乗っ
て、席が空いたんで座ろうとして、それでふと横見たら、まァたそのプロ
グラマがいたンだって! 向こうもびっくりして逃げようとしたらしいン
だけどね、でも今度は捕まえたの。電車の中で首根っこ掴んで取り押さえ
て、それでもーすっごい怒ったわけ。アンタのせいで散々苦労してるって、
もう顔も見たくないって。 |
そりゃまあそうだろうね。オレも見たくねえよ。 |
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なのに同じ駅で降りるんですって、そいつ。
しかも出る改札もおんなじで、乗るバスまで同じ。そんで同じ停留所で降
りて自分のマンションに向かってトコトコ歩いて、それでもまだ着いてく
るもんだから、一体なんのつもりだ! って、また捕まえて怒ったンだっ
て。そしたらそいつ、胸ぐら掴まれたまま言うの。自分の家もここだって。
知り合いの部屋のあるでっかいマンション指さして、ここは自分の両親が
経営してるんだって。 |
大家ってことか? |
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そお。驚愕の事実。お互い知らなかったみたいでもーびっくり。灯台下暗
しってヤツね。
それからというもの、それなりにすれ違うことも多くてね、知り合いの人、
なんだか居心地悪くなっちゃって結局引っ越したンだって。なんか怖くな
い? |
どちらかといや、シューティングゲームがどうなったのか気になる。 |
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ああ、結局お蔵入り。でもね、リソースは全部あるから、いつか同人かな
んかで作りたいって、言ってた。ドット絵なんかすごいのよ? まさに職
人技って感じのクオリティだったわ。 |
でもよォ。それホントなのか? ホントはハナシ作ってンじゃねえの?
おもしろおかしく。だいたいそんなこと、こんなトコでしゃべっちまって
いいのかよ。 |
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ああ、これは怪談だもの。フィクションかどうかはともかく、わたしが聞
いた話、とだけ言っておくわ。でもね、事実は小説より奇なりって言うの
よ? それにわたし、もっともっと奇妙でおっかないお話だってたくさん
聞いてるわ。 |
だからさ、よもやま話だろーが。 |
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怪談だっつーの。まだ聞きたいですか? とあるアニメスタジオに原画頼
んだけど、クオリティの割にはギャランティが異常に安いからよく聞いて
みたらその原画師、そのスタジオの人間をカタるフリーランスだったとか、
大昔、ゲーム作っててグラフィックリソースの余ったセルになんだか卑猥
な言葉を書き連ねてしかも自分のフルネームまで書いちゃって、それから
十数年後に、ワレものロムからその事実が発覚してネット上に晒されて祭
りになっちゃった人のこととか。 |
ちょっとまて。その人も知り合いか? |
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う……ヒミツよ。
そ、それよりどう? わたしの怪談は。すこしはゾッとしたでしょ。まだ
まだ冬だって思ったでしょ? |
今ちょっとだけゾッとしたよ。でも怖いってよかイヤな話だよ。別に寒い
とも思わねえ。 |
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強情ねぇうるちクン。わたしなんかもー話しながら背筋ぞんぞん来てるっ
てゆーのに……それじゃ最後に戦慄そのよん。 |
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わたしねー、昨日ねー、スーパーでお寿司買って来たの、お寿司。だけど
なんと賞味期限切れでねー、時すでにお寿司って、えへへ、やかましいか。 |
イヤ寒いっ! ほんとだ、まだ冬だわー、すげえ冬だわー! |
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でしょでしょー! |
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というわけで陰陽師でした~。
陰陽師の世界にはそりゃもう人知の及ばない奇妙なことがたくさんあるん
ですけどね、でもその原因である悪霊や悪鬼のもとが人間なら、わたした
ちの世界にだって変なことはい~っぱいあるんですね。だって、みなさん
の周りにだってあるでしょう? へんなことってゆーか、納得のいかない
おかしなこととか。 |
オレにはあんまりないんだよなあ、そういうの。 |
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まあそういう人もいるでしょう。それはそれで幸せだと思うけど、それだ
けじゃ面白くないかなあなんて思ったりする今日この頃です。人間万事、
塞翁が馬。人生なにが起こるかワカらない。
だけど冬の後には必ずまぶし
い春が来る! それじゃ今日はこのへんで。
わたしたちがいろんなことに
立ち向かう「トラブル☆ウィッチーズねぉ!」は、Xbox360 Live アーケード
にて今冬配信予定です! |
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……後悔なんて、あるわけない。 |
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