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〜 その12 悪霊来る 〜
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お雛さまでしたね〜。 |
お雛さまだったなあ。 |
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悪霊退治に行ってて、ロクに楽しめなかったけどね〜。 |
ヒサンだったなァ、おまえ。帰りは夜中になっちまうし、いじけて部屋の
隅っこで一人でねんぷち並べてるし。あれで雛祭りだってンだからあんま
りだ。オレまで泣きそうになっちまったぜ。 |
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♪明りをつけたら消えちゃった〜、お花をあげたら枯れちゃった〜。
ご〜にんばやしも死んじゃったぁ〜…… |
……小学生か。 |
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さて始まりました、騒動魔女長談義十一回目。
もうね、先日はお雛さまだったワケだけど、皆さんはどうお過ごしでしたか?
男の子にはあんまり馴染みのない日かもしれませんけど、女の子に
はそりゃもー楽しみな日ですから、こー、ヒナアラレなんかつまんでね、
きっとみなさんイイ感じで過ごされたンじゃないかと思うのです。
三月三日といえばね、もともとは上巳の節句といって、薬草なんかを摘ん
でそれを食べて厄払いや健康祈願をしていた日のことですけどね、わたし
の場合頼りになったのはやっぱり刀でした、カタナ。これね、ヒナツバキっ
ていう斬魔刀なんだけど、一昨日もこれでザックザック悪霊斬ったりなん
かしててね。お雛さまのときくらいすっ込んでいればいいのに、もー出て
きちゃって出てきちゃって…… |
♪明りをつけましょ爆弾にィ、ドカンと一発ぶっ飛んでェ〜、ご〜にんバ
ヤシがスプラッタぁ〜…… |
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ぇあ!? んな、な……なにこれっ!? |
こ、こりゃあ…… |
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♪きょうォは悲しいお葬式ぃ〜〜……なぁ、びーすとぉ。あそこに誰かい
るぜ? てめえチラっと行って声かけて来いよ。人の顔見てなにビビって
やがンだ! ってよォ。 |
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イヤだよ将軍。オレ、犬っコロは苦手なんだ。 |
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お、おいサクラコっ! コイツぁ…… |
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……ええ、ワカってる。すごい邪気だわ。アイツらかなりの古参よ。こん
なトコにまでやって来るなんて、わたしもつくづく寧日がないわね!
さあ来い悪霊ォ! おとといのお礼をしてやるわ。言っとくけどわたし、
すっごい不機嫌ですからね! |
おい将軍。こりゃあ帰ったほうがよくねえか? オレにはなんだか、アイ
ツが刃物抜きやがったように見えるンだが。 |
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そうかぁ? オレには向かってくるように見えるぜ? |
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てやあっ! |
うおっとあぶねえ! こいつマジか? 失くして惜しい耳じゃねえけど、
斬られンなあイヤだぜ、オイっ! |
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ああ。おもしれえコトしてるっつーから来てみたが、こりゃアブねえや。
まだ春ンなったばかりだってのに、気の早ぇなんたらもいるもンだぜ。
いや、邪魔したな。オレたちやっぱ帰るからよ、せいぜい一人で頑張って
くれ。くれぐれもケガしねーよーにな。 |
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あ! 待てッ、逃がすかぁ! |
へへへ、見かけによらず好戦的じゃねえか。そんな物騒なモン振り回しや
がって、オレが一体なにをしたってンだヨ。 |
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ひゃっは! 将軍のことだ。しらねーうちに肩でもぶつけて、アイスクリー
ムでも落としちまったンだ! |
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バカ言ってンじゃ……ないわっ! |
おう!? すげえ太刀スジだ。わ〜かったわかった、大人しくするぜ。
……んでどーするよ。人の首根っこにこんなモン突き付けて、なんだって
ンだ? |
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ヒナツバキ見てもちっとも怯えないのね。なんだかやたらにしゃべるし、
アンタたち、一体何者? |
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こんなに流暢にしゃべる悪霊がいるなんて、知らなかったぜ。 |
ああ、オレか? オレはシエスってンだ。自分じゃ悪霊だとは思ってねえ
けど、でも違うとも言いきれねえ。なんせオレは自分ってもンがよくワカ
らねえからな。 |
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オレに至っては見当もつかねえ。なにせ脳がねえンだ、仕方ねえ。
ぎゃあっはっはっは! |
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ぬいぐるみ? ……新手の使い魔か何かかしら。うるちクン、こいつらど
う思う? |
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わからねえ。注意してみりゃ確かに悪霊とも違うようだが、ヤベぇ気配に
は違いねえ。オレにはワケがわからねえぜ。 |
ああそう、それだ。オレもワケがわからねえ。こんなことしてなにが楽し
いンだ? 気に障ったってンなら謝るけどよ、でも、オレはちょいと歌を
歌っただけだぜ?
オイびーすとォ。テメーからも言ってやってくれよ。楽しいひな祭りが終
わったバッカだってのに、こりゃいくらなんでもねえンじゃねえかってよ。 |
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お葬式って、言ってなかった? |
ならなおさらだ。立て続けに殺されでもしたらシャレんならねえぜ。 |
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ああでも将軍。そりゃちっと勘弁してくれよ。ここだけのハナシ、オレは
犬ってヤツが怖ェんだ。脳からハラワタから全部引きずり出されちまう! |
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しねえよ! 気色悪い。 |
テメーには脳もハラワタもねえけどな。ただのぬいぐるみじゃねえか。 |
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どこがよ。立ってべらべらしゃべってるっつーの。 |
そーんなこと言わずによ、仲良くしようぜ。こんなモンどけて、楽しい話
でもしようじゃねえか。 |
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あっ、さわった! アンタ、この刀さわって平気なの!? |
ああ、ダメだったかい? OK。悪かった。もう触ンねえよ。 |
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い、いや、そうじゃないンだけど…………ってことはなに、悪霊じゃない
のかしら。 |
なにぶつくさ言ってンだ。オレはなんにもしやしねえよ。自分で言うのも
なンだけど、けっこういいヤツなンだぜ。オラ、いいから隣座れっ! |
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すんすん……あれ、アンタちゃんとシャンプーのいい匂いがする。やっぱ
り人間の子…………じゃないわよねぇ!
……うむむむ、アンタたちホントに悪霊じゃないのぉ? ものすごくイヤ
な感じがするわよう! |
ひゃっは! こいつマジかよ。そりゃちっと笑うに笑えねえぞ!
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笑うトコじゃねえンだろ。さてはおまえ魔女だなあ? そんなもン持ってっ
けど、オレのことそんなふうに言うンだから間違いねえヤ。そおだろ。 |
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え、まあ……そおね。魔女にはこれからなるンだけどぉ…… |
まったくよぉ。テメーらはいつもそうだ。オレを見りゃ魔だのなんだのっ
て、ちっと神経質過ぎンだよ。世の中ってなぁ悪ィことしたヤツが悪モン
で、それ以外はいいヤツって昔から決まってンだぜ? そしたらオレはどっ
ちだ? なにもしてねーだろう? どーしてそんな簡単なことがワカんね
えかなあ。 |
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そっ、そりゃあそうだけどお……ああん、背筋がゾクゾクするぅ!
それじゃなんなのアンタ。アンタのそのヨコシマな気配はなんなのか、ちゃ
んと説明してみなさいよう! |
そんなにヨコシマか? オレ昨日ちゃんとフロ入ったけどなあ。
オイびーすとォ、オレ、臭うかい? |
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におう、におうぜ将軍! アンタ花畑みてーにゲロ臭ぇ! |
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だってよ! ひゃははは、まいったねこりゃ。 |
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……いや、匂いは素敵よ。
そーじゃなくて、アンタは何者かって聞いてるの。
記憶が無いの? そもそも人間なの? 悪霊なの? それともあいのこ? |
フリーター。 |
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フリ……だからちがくてぇ! |
ツチノコ。 |
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真面目に! |
真面目なハナシ、ごくフツーのぬいぐるみだぜえ? |
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だーかーらー、マジメなぬいぐるみはしゃべらないの。 |
え? まさか☆マジカ? |
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ほんと……ちょ、アンタ今なに言った!? |
だからワカんねンだって。覚えてねえンだよ、自分のこともなにもかも。
わかってンなあオレがシエスってことと、もうずいぶん長い間生きてるっ
てことだけ。あとの全部は謎だ。 |
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オレに至っては生きるって意味すら謎だぜぃ。将軍は食うコトだっていう
けどよ、なにしろオレはモノが食えねえンだ。理屈がまったくわからねえ。 |
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理屈じゃねえンだ世の中は。あるのはいつだって二つ。イエスかノーだぜ? |
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脳!? じゃあやっぱりあるンだなオレにも! ひゃっほう! |
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それはねえって断言できる。 |
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……まさか☆マジか? |
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アンタそれ、ワカって星つけてンの? |
いや、コイツはなにもわかっちゃいねえ。なにせただのぬいぐるみだ。プ
ラナリア並みにモノは覚えられねえし、ミトコンドリアほども考えてねえ。
どう頑張ったところで、アリんこのすることだって出来やしねえよ。 |
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なんだかヒドイ言われようだけど、腹立たないのアンタ。 |
自慢じゃねえがな! ま、作った本人が言うンじゃそうなンだろうよ。
衝撃の事実だぜ。 |
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え、これアンタが作ったの? ……ってことはやっぱり式神かしら? ア
ンタ、もしかして同業者? |
へえ〜、それじゃテメーもピザ配達員か! 奇遇だなァ〜。 |
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ちがうか。……ってゆーかアンタ、ちゃんと働いてるンだ。 |
あたりめーだろ。働かざる者食うべからず、動かざること山のごとしって
言うンだぜ? |
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動こうよ。ニートみたいな配達員ねぇ。 |
あれ? 働かざることニートのごとしだっけ? まあいいや。
それで? それでおまえはどこのピザ屋なんだい? |
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あ、いや、わたしは陰陽師よ? 人に危害を加える悪霊なんかを退治する
のが仕事なの。 |
ふうん。おいびーすとォ。オンミョージピザって、聞いたことあるか? |
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昔、ちょっとな。 |
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あるんだ!
……って、ちがくてえ、わたしはピザ屋さんじゃなくて陰陽師! |
マジカ? |
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それはもーいい。
……はぁう〜、なんかアンタたち疲れる。お話がちっともはかどンないわ。 |
ああ、それよく言われるゼ。もう少しワカるように話せとかよ、おうコラ
ナメんじゃねーぞ! って感じだけどな。あとアレだ。思ったことをその
まま口に出すのはやめろとかよ、いろいろ小うるせーンだよな、魔女って
な。だいたい空気嫁ってなンだよ。誰の妄想だ? |
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空気を読めってことでしょ。……あ、空気って言うのは雰囲気のことだか
らね。そんなもン見えないだろ〜とか、今さらそんなコト騒がれたって面
白くないからね。 |
いや、むしろそんなモンが見えてるほうがびっくりだぜ。
なぁ、びーすとぉ! |
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そんなもんがいちいち見えてちゃ、目の前真っ暗だな。かえってなにも見
えねえよ。 |
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は〜、もーやだコイツら。なんて答えていいのかワカんない。 |
おいおい、なんて言い草だよ。空気読めよなあ。 |
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アンタに言われたかないわよっ! |
ウォウ〜! |
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バカにしてンのアンタ! |
だったらどうだい? やっぱり斬るのか? |
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考え中よ。アンタたちもしかしたら新種かもしれないし、だったら斬っちゃ
うより生け捕りにして、後学のためにホルマリン漬けにでもしといたほう
がいいもの。 |
はん! どっちにしたって殺す気じゃねえか。そんなヒデェ話があるか。
さっきからカリカリしやがって、せっかく友だちになれたってのに、残酷
なヤツだぜ。 |
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え、ともだち? |
そおだよ。こーして並んで座ってお話ししてンだからよ、もう立派な友だ
ちじゃねえか。なあびーすと。 |
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イヤ将軍。お言葉だがよ、オレと犬は永遠に敵どうしだ。こうなりゃ喰う
か喰われるかだぜ! |
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……喰わないよ。オレはこー見えて紳士なんだ。 |
ほら、このワンちゃんだってこー言ってンじゃねえか。テメェの犬だろ、
コイツ。だったらテメーも意地なんか張ってねえで、ちったぁにっこりし
てみたらどうだい。いつまでもそんな仏頂面してちゃ心配するぜ? テメー
の友だちとしてよ。 |
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ンな、なに言ってンのよォ。わたしは陰陽師で、ア、アンタは悪霊なのよ?
それがどーして、と、ともだちなんかになれるのよォ。 |
オレが悪霊ってのはいまいち要領を得ねえがよ、仮にそうだとしてだから
なんなんだ? オレとテメーは友だちになれねえのか? どうしてだ? |
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どうって……そんなの、当たり前じゃないのよ。む、昔からそー決まって
るのよォ。 |
昔ねェ。そんじゃよ、今からは違うってのはどうだ? 今までのはぜんぶ
昔のコトにして、今からはおんみょうじと悪霊は友だちになってもいいっ
てコトにしちまえばいいンじゃね? |
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……え? |
ってゆーかよォ。誰が決めたンだか知らねえけど、そんなくだんねーコト
守る必要あンのか? 友だちなんてのはよ、仲がよけりゃそれでいいンで
あって種類なんかカンケーねーだろ。
そりゃな、オレだってそこらの石ころだの草だのと友だちになろうたァ思
わねえよ? ヤツらはひどく無口だからな。さすがのオレもそういうのと
は気が会いそうにもねえ。でもよ、ネコとか犬とかならどうだ。オレはア
イツらのこと好きだし、連中だってオレんトコに来ちゃすり寄ってくる。
そこにはなんの問題もねえぜ? |
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将軍はよぉ。犬とオレ、どっちが好きなんだ? |
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それにな、テメーとはなんだかうまくいく気がするンだ。なにせオレ、こ
んなに長ぇこと誰かと話したの初めてだ。いつもならとっくに追い返され
ちまってるのに、テメーときたらいつまでもオレをとなりへ置いといてく
れやがる。オレはどうにも話が上手くねえのに、ちゃんと聞いてくれてい
る。こんなに嬉しいことはねえよ。 |
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……しょ、職業柄よォ。あ、悪霊がなにを考えているかを知る、またとな
いチャンスだもの。 |
それでもいいンだ。さっきも言ったけど、オレは自分ってもンがわからね
えし、大してワカりてえとも思わねえ。オレの正体なんざどうせロクでも
ねえンだ。ワカんねえことの山ン中で、それだけは確かだからな。もういっ
そ、ワカんねえほうがいいのさ。
でも時々思うンだ。だから誰も、オレってもンをワカんねえンじゃねえかっ
て。自分でもワカんねえことを、どうして相手にワカってもらえるんだろ
うかってよ。そうするとほんの少し、やべえ気がするンだ。こんなこと言っ
て恥ずかしくねえって言やウソになンだけどよ……へへへ、ようはちっと
ばかし、寂しンだよな。 |
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……悪霊のクセに。 |
いろんな町の路地裏で、オレはもうずいぶん長いこと一人ぼっちだった。
だからコイツをこさえてみたけど、やっぱりオレに似て、いつだってワケ
のわからねえコトばっか言いやがる。……ああいや、だからってコイツが
キライなンじゃねえ。コイツは大事な相棒だ。オレのまわりにはコイツが
いて当然だし、オレはコイツがいなくちゃ楽しくねえンだ。
でも友だちじゃあねえ。姉キみたいに慕ってくれても、オレの悩みは理解
できねえ。ちょいと塞ぐような時があっても、どうしたらいいのかは教え
ちゃくれねえンだ。 |
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だからオレ、ちょうどテメーみてえな友だちが欲しいと思ってたトコだ。
オレのこと知ってくれるなんて、最高じゃねえか。 |
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でもコイツ、問答無用で斬りかかってくるぜ? |
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そこがまたいいンだよ。斬りかかってこねえよか、ずっとエキサイティン
グでおもしれえ。 |
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ひゃっは! さすが将軍、やっぱ言うことが違うぜ。さっきとぜんぜん。 |
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ま、タデ食う虫も好き好きだ。ちょっと違うが。 |
この犬っコロなんつった? たぺつうぷみもむいむい? |
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どーゆー耳してンだ! |
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ふ、ふん。言っとくけど、わたしだってはじめてなンだからね、悪霊とこ
んなに長いこと話したのは。いつもならヤツら、あーとかうーとかしか言
わないのに、アンタときたらヤケによく喋るから、すごく興味深いわけ。
だからね、もう少し一緒にいて、なんていうかこう、話を聞いてみてもい
いかなって、思い始めてる。 |
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……そ、そーゆーわけで、なってもいいわよ、ともだち。わたしは陰陽師
だけどね、なかでも優秀で誰より革新的なの。それに融通も利く。悪霊の
友だちがいるなんて前代未聞だけど、ま、それもわたしらしくていいわよ。
そうでしょ、うるちクン。 |
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父上には黙っておいた方がいいと思うがね。 |
ああ、それでいい。オレはおさーんに興味はねえンだ。それじゃ決まりだ。
へへ、よろしくな! ……そういやテメー、なんて名前だ? |
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サクラコよ、九条櫻子。アンタたちの気配に慣れるのに少し時間がかかる
かもしれないけど、そこは悪く思わないでよね。それと、絶対に悪さなん
かしちゃダメよ。でなきゃ友情は一瞬にして灰燼へと帰すわ。それどころ
か、またこの刀で襲い掛からなきゃいけなくなるからね。エキサイティン
グじゃ済まないンだからね? |
ああ、そのへんは心配いらねえ。今のオレはまじめ一徹のフリーターだ。
悪ぃコトなんざとうの昔にやり尽くした気がするぜ。 |
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なんかまた、捨ておけないよーなこと言うのねェ。 |
だからよ、気がするだけだから気にすんな。
それよりサクラコ。テメーのこと、もっと教えてくれ。家で何してるとか、
好きなモンとか嫌いなモンとか、いろいろあンだろォ? |
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わたしのこと? そおねえ。わたしは…… |
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すげえオタクだぜ。アニメとかゲームとか、そーいうモンが大好きなんだ。 |
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ちょっとォ、うるちクンたらぁ。 |
オタク? ああー、いわゆる腐のつく。男と男がどうのってマンガが好き
な。へへへ、なんだよテメー、人のこと散々魔だのなんだのってよ、テメー
だってじゅうぶん腐ってンじゃねえか! |
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く、腐ってないわよ! わたしはそっちじゃなくて魔法少女萌えだもン。 |
え? 女のコが好きなのか?
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す、すきってゆーか、憧れてるの! 魔法少女に。 |
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……でもそういやアンタ、結構かわいい服着てるわよね。その傘だってわ
たしのよりセンスいいし、なによ、よく見ればいい感じじゃない! |
まあ、オレはそっちの趣味はねえンだけどよ、でもいいぜ。友だちがそー
言うンなら抱いてやるぐれーワケねえ。なんならそれ以上のコトだって…… |
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ちがう! わたしは魔法少女になりたいの!
東乃国の陰陽師の古臭さがイヤで魔法少女になるのが夢! |
あ? パルスのファルシのルシがコクーンでパージ? |
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言ってないでしょそんなこと! |
……まさか☆マジカ? |
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もーあきた。 |
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というわけで陰陽師でした〜。
う〜ん、進取の気鋭を自覚していながら、悪霊の気持ちを理解してなかっ
たなんて、わたしとしたことが。そうよね。あいつの言うとおり、固定観
念にとらわれてたらダメ。ずっとそう思ってたはずなのに、いや〜、気が
つかされてしまいました。忙しいとダメですね〜。 |
そりゃ何かへのあてつけか? |
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え? 別にそんなことないわ。ただちょっと、読んでないマンガが積み上
がってきたかな〜ッて。あ、それにゲームだって全部中途半端にしか進め
てない。……う、録画だって死ぬほどたまってるし、CDもDVDも買う
だけ買って開けてもいないわね。どうしてこんなに忙しいのかしら。 |
ま、逆に言えば嬉しい悲鳴だな。今の世の中じゃ。 |
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そうね。それじゃ今日はこのへんで。
悪霊なんだか魔女なんだかよくわからないシエスがばんばん襲ってくる
「トラブル☆ウィッチーズねぉ!」は、Xbox360 Live アーケードにて
今春配信予定です! |
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……冬は終わっていたわ。 |
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