皆さんこんにちは! 私はヨーコ・レッドスターと申します!
王立エイヘムランド高校の普通科に通ってるフツーの女子高生なんですけどぉ、こーみえてちっちゃい時から魔法がすっごい得意で、将来はきっと立派な魔女になりたいって思ってます!
こういうコーナーの司会なんて初めてですけど、精一杯頑張っていきたいと思いますので、今後も何卒お引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます!
ボクはマイケル、ヨーコのお目付けさ。調子に乗って暴走しないように見張ってるんだ。
あ、ペットじゃないからそこんとこヨロシク。
えへへ、お目付けだなんて。
ね、ところでマイケル、このコーナー、いよいよ始まってしまったわけだけどぉ、あんたどう? 緊張してる? 私どうだった? なんかしくじったかな。
別にしくじっちゃいないし、挨拶としちゃそつなくまとまってていいんだけど、でもなーんかフツーすぎじゃね?
え、でもフツーにって言われたわ。
なんかこう、ギャグがない。
ぎゃぐ!
おさかな屋さんがおどろいた、ぎょ! みたいな?
うんうん。ツカミとしては、いいんじゃないかな。
よっしゃ、ツカミはおっけーっ!
でもまあ、まずはフツーでいいのよ、こういうのは。ていうかヘンなこと言って最初っから皆さんを困惑させたら申し訳ないし、私だって、できればヘンなやつって思われたくないもん。
おまえ、フツーじゃないの好きじゃん。それに実際ヘンなやつだし、そっちのほうで盛り上げてったほうが、面白くなるんじゃねえのかな。
ちょっとマイケルぅ!
ヘンなやつってどういう意味よ。私は至って正常でしょ。フツーじゃないっていうのには確かに憧れてるけど、でもそうじゃないからこそ悩んでいるわけで、それはつまり、フツーだってことじゃない?
だからさ、そこがヘンなんだよ。フツーでいたいのかそうじゃないのか、よくわかんないんだ。自分でもそう思わないか?
うう……思ってる。
なんかこう、どっちつかずッていうか、そういうところでフラフラしてるのがイヤっていうか……そういうの、わかんないかなあ。
モラトリアム?
いやあ、そういうことじゃなくて……
じゃあわかんないよ。ボクはフツーが好きだもん。特に変わったことをしたいわけでもないし、フツーで平和が一番さ。
……でもあんたさ、あんただってよく見たらフツーじゃないわよね。人間じゃないのにフツーにしゃべってるし、ハンバーグ好きだし、そもそもなんの動物なのかよくわかんないし。
そ、そんなのエイヘムランドにはいっぱいいるだろ!
……それにやたらと生意気で、ときどき可愛くないし。
か、かわいくな……うそだろ!
おまえボクのこと嫌いになっちゃったのかよ! やめろよそんなの!
にひひひ、冗談よぉ。私はあんたのこと大好き!
ちっちゃい時からずうっと一緒だもんね。
そんならへんなことゆーなぁ!
おまえこそときどき意地悪だ。ペットは主人に嫌われるのが一番怖いんだぞ。
あれ、お目付けなんじゃないの?
そ、そおさ、お目付けだよ!
そう言ったろ。いまのはペットの気持ちを言ってみただけなんだ。たまたまボクも一緒ってだけのことで……。
あはは、ごめんねマイケル!
あなたは大事な家族よ。もう意地悪なんてしないから、こっちへおいで。
もー。このハナシ、こんな流れでいいのか?
あっ、そうだった、忘れてた!
そういうところが、フツーじゃないんだ……
それで? ヨーコはフツーでいたいの? それとも、実はそうじゃないの?
う~ん、それがよくわかんないのよね。将来は魔法協会認定の立派な魔女になって、世界を股にかけるようなフツーじゃない活躍はしたいんだけど、でも目立ったり、まわりの人と違ったりするのはイヤっていうか。
衆人環視の世の中だからね。SNSっていうのもあるし。
あと危ない目に遭うのもいやだよね。そういう意味じゃ確かに今のフツーな生活が一番だって思えるんだけど、でもそれだけだとやっぱり面白くないでしょ?
カラオケにでも行けばいいじゃん。
なんか発想がヘイセイよね。
なに? へいせい?
ううん、なんでもない。
とにかくね、そういうことがわかんないからこそ、私はこのコーナーを引き受けたのよ! ホンモノの魔女さんたちをたくさん呼んで、そんでいろいろ聴くの!
いつもなにしてる~とか、すきなものはなあに~とか、そういうちょっとフツーじゃないお話をね!
そうすればきっと私もわかるはずなのよ。立派な魔女になるためにはなにが必要なのか、どうしたらいいのかって!
……むっふっふ、これで私の将来も安泰よ。苦労もなく恙無く且つ、平和で安全に魔女を目指せるってわけ!
だからパパとママも納得なのよ!
……その勘違いがいけないんじゃね?
そういうわけでこのコーナー、次回から素敵な魔女のゲストをお呼びして、あれやこれやと訊いてみたいと思います。
では今回はこのへんで。司会はヨーコ・レッドスターでお送りしました。ここでオープニングソング!
るーるるーるるる、るーるるーるるる、るーるーるーるー……
それはやめとけって。