ヨーコ・レッドスターのちょっとフツーぢゃない話!

第三話

ヨーコ

は~い、皆さんこんにちは、こんばんは、おはようございます!
今週も元気にはじまります「ちょっとフツーじゃないハナシ」、司会はわたくし、ヨーコ・レッドスターでお送りいたします! よれちょふなは~!

どうも、マイケルです……って、ヨーコ今なんて言ったの?

マイケル
ヨーコ

よれちょふなは~、だよ。

よれ、ちょ……ふ????

マイケル
ヨーコ

そう、よれちょふなは! このコーナーの名前の略なの。こっちのほうが覚えやすいでしょ?

ぅえ、そおかあ? 意味わかんないんだけど。

マイケル
ヨーコ

どおしてよー。とってもわかりやすいじゃないのよ。

ヨーコ
レッドスターの
ちょっと
フツーじゃ
ない
ハナシ

を縦読みしたらそうなるじゃない。

わかんねーよ! 語呂だって悪いし、略してどーすんだよ。

マイケル
ヨーコ

だからー、これから最初と終わりで叫ぶのよ、よれちょふなは~! って。
挨拶みたいなもんね。
おっはー! とかみんな言うじゃん。それとおんなじよ。

ぜんぜん違うだろ。おっは~ならわかるけど、よれちょふなはだなんて。わけわかんないよ。

マイケル
ヨーコ

いいの! ハイ、一緒に言って。
よれちょふなは~!

………………。

マイケル
ヨーコ

も~マイケルったらノリ悪いんだから。あんたへんなところで強情よね。

ヨーコこそそんなわけわかんないこと言ってないでさ、そろそろゲスト呼びなよ。なんか待ってるみたいだよ?

マイケル
ヨーコ

えあああそおだ! 私ったらどうもダメよね……
本日のゲストはユーキちゃん!
天空の孤島ティリシからはるばるお越し頂きました自称天才魔法少女にして最強のキック使いでございま~す! さあどうぞ~!

え、きっく?

マイケル

……ん? そっち行くの?
よれちょふな~……これでいいのか?

ユーキ
マイケル

見るからに活発そうだよな。

ヨーコ

こんにちは、ユーキちゃん! ささ、どうぞどうぞこちらへ!
遠いところからようこそおいでくださいました~! 疲れましたでしょー。

疲れたというよりはお腹すいたよ、よれちょふな~。

ユーキ
ヨーコ

でがしょでがしょ。こんなこともあろうことかと、持ってきましたよこれ!
アーモンドビッグバー! お腹がすいたら~ってね!

マイケル

古いし違うしわからんし。

ふああ、でっかいチョコバーだ! ありがとう、よれちょふな~!

ユーキ
ヨーコ

ふふん。よれちょふなははこのコーナーの名前で、私はヨーコだけどね。

あ、そうなのか。よれちょふな~っておまえのことじゃないのか。これは失礼こいたな~、むぐむぐ。

ユーキ
マイケル

……それもう引っ張んなくてよくね?

ヨーコ

いえいえ覚えてくれたらそれでいいのです! 

それにしても、前にもこんなところに来た気がするなあ。
あれ、なんだったっけ? ヘンなおはなしをえんえん聞かされて、ものすごくすっぱいもん食べさせられたような覚えがあるな……。

ユーキ
ヨーコ

いいのよそういうことは。あなた12歳って設定なんだから。それよりユーキちゃん、ユーキちゃんは魔法使いよね? ってことは魔女だ! 今日はそのあたりのことたくさん聞かせてくれると嬉しいな。

別にいいけどさ。でもティリシじゃ魔女なんて言わないんだけどな。
まあ、あたしが天才魔法使いってことにかわりはないけど。むぐむぐ。

ユーキ
ヨーコ

へえ、そうなんだね。魔女じゃなければなんていうの?

くうぇるどりーざ、だ。魔法とか力の使い手という感じ?
ティリシの人はみんなそう。

ユーキ
ヨーコ

クウェルドリーザ……え、ちょっと待って。なんかすっごいカッコいい!
やばい、フツーじゃない!

マイケル

聞いたことのない響きだよね。魔法協会にもいるのかな。

そりゃいるだろうさ。あたしもパパも、協会にはちゃんと登録されてるもん。ここのじゃないけど。

ユーキ
ヨーコ

え、どこどこ? 協会ってエイヘムランドが本部じゃないの?

今はね。でもちょっと前まではリッチロットってとこにあったんだ。パパがそこの役員かなんかで、それであたしも、ってかんじ。

ユーキ
ヨーコ

リッチロット! ってことはユーキちゃんもリュフヤベルク魔法学校の生徒なのかな!

え、リュフヤベルク? そんなのしらない。
っていうかあたし、リッチロットの支部協会員ってだけで、手続きだってぜんぶパパがしたし、そんなトコ行ったことない。

ユーキ
ヨーコ

あ~、そうなんだね。
でもいいなあ、リッチロット。憧れのリュフヤベルク魔法学校。
私、そこで魔法の勉強して、いつかきっと立派な魔女になるのが夢なのよね~。

マイケル

魔法の勉強はここでも十分できるけどなあ。

あたしは勉強なんてしたくないけどなー。学校行っても、先生ってばあたしにだけ厳しいし。

ユーキ
ヨーコ

え、そおなの? 学校って、ティリシっていうところの学校?

そう。ティリシは空の高いところに浮いてるちっちゃい島だけど、でもちっちゃい村があって、ちっちゃい学校もあるんだ。
生徒なんて、あたしを含めて17人しかいないし、先生も3人だけ。
校長は村長がやってて、たまにパパがいろんなものを修理に来るな。

ユーキ
ヨーコ

へえ、おとうさんが。おうちはそういう業者なの?

違うよ。パパは神殿の管理者さ。誰も開けたことのない扉の管理と修理をしてる。
扉はたくさんあってさ、毎日すごく忙しいんだって。
あたしんちは代々そういう家系だけどね、パパは器用で頭がよくて、テレビでもなんでも直せちゃうんだ。

ユーキ
ヨーコ

その扉っていうのも気になるけど、でもおとうさんすごいね。私のパパなんてすぐ諦めるもんね。
ドアノブ壊れたら買った方が安いとかいって扉ごと変えちゃうし。花瓶割れたらすぐ捨てちゃうし。

マイケル

花瓶はそれでいんじゃね?

うん、それに魔法だって超一流だし、あたしのパパはすごいんだ。神殿の管理者だからね、村中に一目置かれてるし、いつも正しくて間違いなんてしない。でもちょっと厳しいかな。

ユーキ
ヨーコ

厳しいんだ。
う~ん、でもなんかわかる。偉い人ってやっぱり甘えとかないもんね。いろんなところがきっちりしてて、そういうところが尊敬されるっていうか、なんかカタいっていうか。
あたしのママもそう。

ママ? ヨーコのママはきびしいの?

ユーキ
ヨーコ

うん、きびしいよ~。門限は絶対に夕方6時だし、テレビは一日1時間でしょ。
冷蔵庫にはジュースなんてなくていつもお茶だし、おやつは絶対に塩クラッカー! しかも乗っけていいチーズは3個までなんだよ?
コーラだって飲んじゃダメっていうし、いっつもフツーにしてろってうるさいし、これを破るとおしりぺんぺんされちゃうの。

マイケル

ボク、知ってるよ。ヨーコはすぐにずるをする。昨日もコーラ飲んでたし。

ヨーコ

うぐ! ……アンタだってちょっと飲んだでしょ。それ絶対言っちゃダメよ。

にひひ、面白いね。厳しすぎるのはイヤだけど、でもそういうのはキライじゃないかも。

ユーキ
ヨーコ

え~窮屈じゃん。ユーキちゃんのママは優しい?

ん、そうだね……すっごく優しいよ。隣にいるとすぐ撫でてくれるし、髪も梳かしてくれる。ママの手はあったかくていい匂いで、あたしは大好き。夕方おうちに帰ると、ママはいつもテラスの揺り椅子にいてさ。あたしの話を聞いてくれる……。

ユーキ
ヨーコ

んふふ、ユーキちゃんはママがとっても好きなんだねー。

そ、そりゃまあ……

ユーキ
ヨーコ

パパも好きなんでしょ?

ま、まあね。
パパの手もあったかいはあったかいんだけど、でもあたしもよくおしりひっぱたかれるからね、デカくてごっつい手を見るとちょっと怖いよな。

ユーキ
ヨーコ

あははは! わかる!
あたしもちっちゃい時そうだったもん。靴ベラ見るとこう、背筋がゾゾ~って。

マイケル

パパ、よく言うもんね。ちっちゃいときのヨーコはもう、えらいおてんばで暴れん坊で、手が付けられなかったって。

ヨーコ

それまだハイハイのころでしょー。そんなにも幼気な子供のおしりを靴ベラでぶったりしちゃだめじゃない?
軽いトラウマよ、トラウマ。

マイケル

泣くとすぐ魔法でまわり燃やすから仕方なかったって。ぼくにはヨーコのほうがよっぽど凶悪に思えるけどなあ。

靴ベラごと燃やしちゃえばいいのさ。魔法使いに逆らったらどうなるのか、ちゃんと教えてやらなくちゃな。親にはそんなことできないけどさ。

ユーキ
ヨーコ

そうだよねー。子供は不利だ!

でも暴れん坊と言ったらあたしもそうだな。気に入らないことには絶対に従わないし、ケンカにだって学校じゃ負けたことない。魔法の成績はいっつも一番だし、誰にも負けない自信があるね。

ユーキ
ヨーコ

暴れん坊であんまり得することはない気もするけどねー。でもさ、ユーキちゃんはどういう魔法を使えるの?

いろいろさ。でも得意なのは光の魔法。魔力を凝縮させて一気に発射させる。ものすごい勢いと高熱で、おっきな岩だって木っ端みじんにできちゃうぞ!

ユーキ
ヨーコ

え~すごいすごい! 光の魔法って、そういうこともできるんだね。一般的にはまわりをすごく明るくするっていう感じだと思ってた。

それもできるけどね。言ったろ。あたしは天才クウェルドリーザだからな。大体思いつくことはなんでもできる!

ユーキ
ヨーコ

誰に教わったの? 12歳とはいえ協会員なんだから、師匠がいるってことでしょう?

パパとママさ。
ママはティリシでも最上級のクウェルドリーザでね。世界中を旅していろんな魔法を学んだんだって。
パパはさっきも言ったように神官だからね。もともとスゴイ魔法が使える。
二人ともすごい魔法使いで、あたしはちっちゃいときからいろいろ教わってたし、覚えが早いっていっぱい褒められた! ヨーコは?

ユーキ
ヨーコ

わたしんちはもう、こてっこての公務員一家だからね。そういうのはないの。私には師匠もいなくて全部独学。修行っていうのも特に何もしてないし、でもなんでだか昔から、魔法は自由自在に使えたのよね。

ふうん。それならヨーコも天才だな。あたしとおなじだ。

ユーキ
ヨーコ

そう言ってもらえると嬉しいけどねー。でもたぶんそうじゃないのよねー。

マイケル

あ、そのさっき言ってた、キックっていうのも魔法?

キックはキックさ。超強力キック。相手は死ぬ。

ユーキ
ヨーコ

……それも岩を木っ端みじんにできるの?

え? ああいや……そこまででは、ないかな……。

ユーキ
ヨーコ

だよねえ! そんなので蹴られたらどーなっちゃうのかと思ったわ。

マイケル

ハヤブサ化した破壊の剣で二回攻撃されたスライムみたいになるのかと。

ケンカで魔法を使うわけにはいかないからな。学校のヤツラにはキックで十分さ。

ユーキ
ヨーコ

ケンカなんて、よくするの? 

よくはしないけど、でも気に入らないやつはブッ飛ばす。
男子ってばいっつもつまんないイタズラしてくるんだ。だから思い知らせてやってるな。

ユーキ
マイケル

だから先生が厳しいのか。

ヨーコ

ユーキちゃん可愛いもんね。 

ん? どーいう意味だ?

ユーキ
マイケル

だからといって正当化できる時代じゃないけどな。

ヨーコ

そうそう! その天才クウェルドリーザにお訊きしたいのですけど、そんなに強力な魔法を使えるようになるには、どうしたらいいのでしょう? なにか秘訣なんてあるのかな?

ひけつ? そんなのないよ。

ユーキ
ヨーコ

え、そうなの?

そおさ。魔法なんて思いつくようにやればいいんだ。そのためになんかすることなんてないよ。

ユーキ
マイケル

なんかアレだな。ホントに天才っぽい。

ホントにってなにさ。あたしは天才だよ。毎日遊んで食べて寝るだけ。あと、気に入らないやつはブッ飛ばす。

ユーキ
ヨーコ

なるほどなるほど。ノーストレスが秘訣ってわけね。なんかまたすっごい修行とか筋トレとか言われるのかと思ったけど、これだったら私にも出来そう! 

修行ぉ? ……もしかしてしそれ、アクアが言ったのか?

ユーキ
ヨーコ

そうよ。アクアさんも天才だって言ってたけど、実はなんかすっごい修行しててね、もうなんというか、語彙的にあれだけどホントにもうすごいのよ。

ヨーコ

100キロ泳いだりタルの中に入って崖から転げ落ちたり、崖に渡したロープにつかまって渡ったり……

相変わらずすごいなァ。天才のあたしには思いつきもしない修行だよ。なんか魔法じゃなくて魔球の修行にも思えるけど、なんにしたって一般人は真に受けちゃダメだと思うぞ。

ユーキ
マイケル

誰もがそういう。

ヨーコ

真に受けるもなにも出来ないけどね。でも偉大な魔女はみんなそういうことやってるのかしら。 

やってないって。魔女もクウェルドリーザも基本ものぐさで、身体使いたくないから魔法覚えるんだろ。アイドルっていうのがどういうものかは知らないけど、アクアは奇特なんだよ。

ユーキ
ヨーコ

奇特……。 

そ。ちょっとヘンなのさ。先生並みにガミガミうるさいし……
……あ、でもまてよ? パパもなんか言ってたな。昔はよく、魔物の退治に行ってたって。

ユーキ
ヨーコ

え、魔物? 魔物って、オークとかドラゴンとか?

うん。どこかで悪さをしてる魔物がいれば、そこに出向いて戦ってやっつけて、何度も死にかけたって。
でもそれがいい修行になったんだろうなって、そんなこと言ってたかも。

ユーキ
ヨーコ

武者修行! それはいかにも魔女っぽいけど、それも私には無理かなあ……

マイケル

ドラゴンなんて出て来たら、絶望しかないよな。

あたしのパパはそれよりも強いんだけどな。

ユーキ
ヨーコ

そりゃー怖いわ。ちょっとフツーじゃない……

ヨーコ

……というわけで、ヨーコ・レッドスターがお送りしましたちょっとフツーじゃないハナシ、今週はこのへんで!

マイケル

ボクが思うに、ユーキは意外とフツーだったぞ。暴れん坊で手が付けられないなんて、嘘なんじゃないのかな。

ヨーコ

その真相は本編で! それではみなさん、寒さにお気を付けてよれちょふなは~!

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