ヨーコ・レッドスターのちょっとフツーぢゃない話!

第四話

ヨーコ

よれちょふなは~!
皆さんこんにちは、こんばんは、おはようございます!
今週もまたはじまります、楽しいのかそうでないのかよくわかんない「ちょっとフツーじゃないハナシ」、司会はわたくし、ヨーコ・レッドスターがいつもどおり、また~りとお送りいたします! 

おはようございます。マイケルです。 ねえヨーコ、今日はいつもと雰囲気違くない?

マイケル
ヨーコ

うんまあなんか、今日はこっちなんだって。
私みたいな下っ端にはよくわからないんだけど、いろいろ事情あったみたいで。

これはこれでいらん事情が発生しそうな気もするけど、アクアの書き割りもあるし、まあいいか。

マイケル
ヨーコ

そうそう。これで特になにかが変わるってわけでもないんだし、いつもの通りニコニコしていればええんでなかろうか!

なかろうか! ところで今日のゲストは誰なのかな?

マイケル
ヨーコ

ふひひ。今日も今日とてすんごいフツーじゃないゲストをお呼びしていますよ。
海の向こうは砂漠の国のお姫様。謎に包まれた魔法大国アークトゥルスの第三皇女にして自称天才ダンサー! ラーヤ・アークトゥルスさん、どうぞこちらへ!

マイケル

あれ、魔女ではないの?

どーもどーも! いやもうホント、どーも。ラーヤです。

ラーヤ
ヨーコ

あ、すっごい! 背ェ高くてスタイル抜群! 魔女ってよりはなにかのスポーツ選手みたいな印象ですけども。

スポーツっていうのは特にしてないんだけど、まあでも毎日ダンスはしてるかな。

ラーヤ
マイケル

ダンスってこう、タンバリンとか持ってお腹クネクネの異国情緒あふれるようなやつとか?

あはは、そうだねえ。そういう伝統的でベリーな踊りももちろんやるけど、最近はどっちかというとストリート方面かな。
ヒップホップとかコンテンポラリーとか、そういうの知ってる?

ラーヤ
ヨーコ

言葉としては知ってるけど、でもどういうものかって言うと、たぶんよくわかってないと思いますね~。
R&BとかLAとかスタイルがいろいろあって、振り付けもけっこう動作の激しい感じですよね。

マイケル

だからあちこち引き締まってるわけだ。

いやいやそんなそんな。私なんてまだストリートに出たばっかりのペーペーでございますよ。だからこっそり街のスクールで習ってるんだけどね、これがやってみたら本当に楽しくて!
公務そっちのけなもんだから、いろんな人に怒られちゃったりしてますねえ。

ラーヤ
ヨーコ

そりゃまあお姫様ですもんねえ。いろんなご事情もおありでしょう。でも公務って、やっぱり忙しいんですか?

あ、そういうときもあるっちゃあるんだけど、実を言えばそれほどでもないかな。っていうかぜんぜん忙しくなくて毎日ヒマかな!

ラーヤ
ヨーコ

ひま! それは意外ですね。

だって私は第三皇女だもん。姫っていうのはそうだとしても、お仕事は姉さまたちがぜんぶやっちゃうし、私まで回ってこないから、なにをやればいいのかもよくわかんない。

ラーヤ
ヨーコ

なるほどですねえ。でもお姫様といったら政治のお勉強とか習い事とか、そういった予定で毎日スケジュールが埋まってて、やっぱり忙しいイメージありますけども。

う、やっぱりその話になるか……。

ラーヤ
ヨーコ

あれ、だめでした? 言っちゃいけないワード?

マイケル

そんなのあったか?

いやいや、ぜんぜんダメじゃないし正直に話すんだけども、私ったらそっちのほうがてんでダメなんだよね。お勉強とかって聞くだけで身震いしてくるの。なんていうか、トラウマ?

ラーヤ
ヨーコ

とらうま! なんでしょう。よっぽどスパルタな環境だったとか?

そういうことでもないし自分でもよくわかんないんだけどね、なんでだかキライなのよお勉強。しなくちゃいけないのはわかってるけど、そう思えば思うほどにしたくなくなる不思議。
ヨーコちゃんはどう? お勉強好き?

ラーヤ
ヨーコ

好きかって言われると確かに微妙だけど、それもやることによるかなあ。数学はヤだけど国語は好きだし、理科は得意。
あ、歴史も苦手。過去のことにはどうしても興味を持てないっていうチョー前向き思考ですから。

マイケル

でもヨーコ、学校は好きだよね。ずっと皆勤賞だし。

ヨーコ

学校行くのは好きよ。お友達いるし楽しいし。ママのお弁当美味しいし。

学校かあ。私は学校行かせてもらえてないからな~。
お勉強は小さいときから自分のお部屋でするもんだったし、じいやと先生たちに叱られた記憶しかないからね、だからダメなのかも。

ラーヤ
ヨーコ

う~ん、それは確かにいやかも。私のママも勉強勉強って大概だけど、そんなの四六時中聞かされてたら、きっとどうにかなっちゃうもん。

マイケル

で、どうにかなっちゃったのがラーヤだと。

ホントそうなのよ。お父様とおじさまったら、私を部屋に閉じ込めるの。
小さいときからまるっきり幽閉されてる!

ラーヤ
ヨーコ

ゆうへい! これはまたなんかフツーじゃない感じですよ?

マイケル

フツーじゃないっていうか、穏やかじゃない。

んああ、ごめんごめん! ホントはそうでもなくて、今のはちょっとした言葉のあやってヤツ。
でもやっぱり、譲って軟禁状態ではあるかなあ。

ラーヤ
ヨーコ

大して違わないような。

マイケル

身分が身分だから自由に振舞えないのはわかるけどさ、でもそれだって言い過ぎさ。陽の光に当たってないほど生白くなんて見えないし、妙に世慣れてる感じするし。

うひひ、バレたか。
そう、朝起きて歯磨きしてじいやにおはようって言ったその1分後にはもう部屋から消えてるアークトゥルスの脱獄王! それがわたし!

ラーヤ
ヨーコ

うんまあ、そうですよねえ。そのお肌のハリと色つや、とても幽閉されてるお姫さまには見えないものね。
でもそんなことして叱られません?

叱られる! だから夜まで帰ってこないし。

ラーヤ
ヨーコ

それって、遅いか早いかの違いしかなくない?

うんまあ、でも平気かな。おじさまに知られるとちょっとまずいンだけど、私、なんだかんだ甘やかされてるし、小言にももうすっかり慣れちゃった。

ラーヤ
マイケル

それって、甘やかされてるんじゃなくて、あきらめられてるんじゃないの?

そうとも言う! ……って、それシェーシャにも言われたあ。
でもね、私はこうも思うの。本当になにかを学ぶんだったらね、お部屋に閉じこもって教科書見てるだけじゃダメなんだよ。もっとこう、いろんなもの見て肌で感じて、そうやって知っていくことこそが本当の勉強なんでないかと!

ラーヤ
マイケル

そういうのはやることやってから言うものではないかと。

ヨーコ

まあそれはともかく、今はそれがたまたまダンスなんですね。

そお。私のお城じゃベリーなダンスが嗜みで、女性はみんな習うんだけどね、それが基本的にスパルタでたたき込まれるもんだからけっこうつらいの。
でも私、躍ること自体は好きだし、楽しくやれたらもっと上手になれる気がするのよね。

ラーヤ

それに勉強だってそう。しなくちゃダメっていうだけで、なんのためにするのかを教えてもらえないから好きになれないんじゃないかと。
好きになれないから頑張れないし、仮に頑張っても私みたいになっちゃう。

ラーヤ
マイケル

あれ、ぜんぜんしてないから怒られるって言ってたじゃん。

それは今。小さいときはもうホントに頑張ったもん。っていうか死ぬほど頑張らされた! まあ、毎日駄々こねてばっかりだったけど。

ラーヤ
ヨーコ

あはは、でもわかります。努力とか根性っていうのも時には必要かもしれませんけど、でもそれ以上に目的っていうのが大事なんですよね。
将来の夢とか希望とか、そういうのがきちんと見えてたら、勉強でもなんでもきっといくらでも頑張れる。

私の国は古くからある大国で、長い伝統もあるから余計に厳しいんだよね。
昔みたいに個性を犠牲にしてまでやらなくちゃいけないことはさすがにないけど、夢とか希望とかへの考え方は、まだまだ古いままかもね。

ラーヤ

それはまわりが砂漠ばっかりだからかもしれないけど、それでも街へ出ると、いろんなことがわかる。
みんな自分の人生を楽しく過ごしたいって思ってるし、それに必要なことを自分で選んでやってるの。そういうの見てると憧れるし焦りもするし、お城にいるよりもずっと、学べることは多いよね。

ラーヤ
ヨーコ

街の人とは、お話とかするんですか?

おはなしもなにも、毎日一緒に遊んでるよ! お食事もするしお店のお手伝いだってするの!
スクールの人とダンスパフォーマンスでおひねりだってもらっちゃうよ! こう見えて私、けっこう人気モノなんだよね、お城の中とは違って。

ラーヤ
マイケル

お忍びのお姫様が街で人気モノっていうのはテッパンだからな~。

ヨーコ

街が学校みたいなものですね。かなりうらやましいかも。

マイケル

いやいや、それ言ったらヨーコだっておんなじことしてるじゃん。

え、そうなの? ヨーコちゃんもなんかの脱獄王?

ラーヤ
ヨーコ

獄、ではないんですけどね、まあ、そうですね。私もよく、お部屋を抜け出しちゃいますね。

なんでなんで、教えて教えて!

ラーヤ
ヨーコ

ああ、その……こういうところであんまり言うと後が怖いんだけど、私の場合、夜に出かけるんですよ。
学校から帰って来てお夕飯食べて、宿題やって夜九時くらいかな。パパとママが眠ったらホウキに乗って窓からスーーーっと。

マイケル

感心しないよな。女の子が一人で夜の街をうろつくなんてさ。ママとパパはヨーコのこと心配してるのに。

ヨーコ

本屋に行ったり道具屋行ったりするだけよお。それにひとりじゃないし。マイケルだっていつもついてくるじゃん。

マイケル

それは心配だからさ。別に独りが退屈ってわけじゃない。

ヨーコ

どうかなー。いつも楽しそうに見えるけど。

本屋に行ってなにをしてるの? 立ち読み?

ラーヤ
ヨーコ

にひひ、まあ、そうには違いないんだけど、実は魔法の勉強をしています。
おばあちゃんにホウキを買ってもらってからずっと続けていますので、もう街中の本屋さんと仲良しなんです!
魔法の勉強に限っては、立ち読みし放題の契約ってものを結んでますので!

魔法のお勉強? ヨーコちゃんは魔法使いになりたいの?

ラーヤ
ヨーコ

はい、そうなんです! 将来はきっと立派な魔女になって、町の平和を守るという約束です。
あ、本屋さんとのですね、契約にはそう書かれているという。 

マイケル

平和を守るって、なにが襲ってくるというんだ。

へえ、そうなんだあ。立派な魔法使いねえ。いいなあ、そんな夢を持ってるなんて。私はまだ見えてないしなあ。

ラーヤ
ヨーコ

いやまあでも、それに向かって躍進できているかと言ったら、そうではないんですけどね。いっつもフツーに流されちゃうし、魔女になりたいってことも、パパとママにはあんまり言えてない。 

あ、反対されてるとか? ご両親は夢を認めてくれないの?

ラーヤ
ヨーコ

認めてくれないっていうか……うんでも、そんなところですね。
私のパパとママは普通の公務員でとにかく普通が一番で、レールの上を外れるようなことは大嫌い。ちょっと危なっかしいことをするだけで叱られちゃうし、いろんな意味で、ホントは窮屈なんです。だから最近は言い合いも増えて来ちゃって。

ヨーコ

でも原因はそれだけじゃない。私自身もフツーにしてないといけないっていつも思ってるし、だから言いたいこともあんまり言えてない。
ホントはリュフヤベルク魔法学校へ行って勉強したかったけど、一度言ったらすっごく叱られたし、それからは怖くてあんまり言えなくなっちゃった。
だからもう仕方ないんだって思ってるし、今の学校だって楽しいからいいんだけど、でもやっぱり夢は諦めたくないし、そのためにやれることも、やっておきたいんだよね。

マイケル

パパとママはヨーコを心配してるんだよ。ちょっと過剰だなって思うときもあるけれど、普通っていうのも悪くはないから、そこがまたやっかいっちゃ厄介な問題だよな。

それわかる。そういう意味じゃ私とヨーコちゃんは似た者どうし。いろんなことに振り回されて、迷っちゃってる感じ?

ラーヤ
ヨーコ

そうですね。そういうのが平明かも。私も将来、どうしたらいいのか、本気で悩んでるのよねー。

魔法はね、私も得意だし一応魔女だけど……

ラーヤ
ヨーコ

え!? あれ、そうなんですか! 

マイケル

天才ダンサーじゃないの?

いやいや、あのね、それじゃ今日私どうして呼ばれたのよ。魔女よ魔女。こう見えてちゃんと協会にも登録されてる。ダンスとおんなじくらい得意だからね、けっこうやっちゃいますよ。

ラーヤ
ヨーコ

そっか! そりゃそうですよね! おはなしの流れで私すっかりダンサーかと思い込んじゃった。これは失礼しました!

みんなに同じこと言われるからね、別にいいんだけどさ。でも魔女ってけっこう大変だよ?
なんかどっかで問題起きたら絶対行かされるし、それに危ないことだってホントにあるよ?
私、魔法のじゅうたんに穴開けられて空から落ちたことあるもん。

ラーヤ
ヨーコ

え! 戦いですか? それでどうしたんですか? 

下が砂丘で助かった! でも斜面ゴロゴロ転がってそのままオアシスに落ちてワニに追いかけられた。

ラーヤ
マイケル

ギャグ畑の顛末だな。 

笑い事じゃなかったよ。
けんかの仲裁に行ったけど、二人ともエライ危なっかしい魔法使いで、あのまま暴れられたら街一個消えてたもの。止められてよかったよ~。

ラーヤ
ヨーコ

それ、ラーヤさんが止めたんですか?

そりゃあねえ。びっしょびしょの砂まみれで、あんたたちのせい! って怒ったら、なんか止まった。
でも立ち向かわれたらただじゃ済まなかっただろうし、魔女のお仕事ってやっぱり、荒れる時は荒れるもんよねえ。だからイヤ。

ラーヤ
ヨーコ

う~ん、そういうのに憧れがないわけではないけども、でもやっぱり、現役魔女から直に聞くと尻込みしちゃう自分もいる。こういうところが優柔不断なんだってことはよくわかってるけど、それをいつまでも払拭できないことが嘆かわしい!

マイケル

怖いもんは怖いのさ。それを理由もなく受け入れようとするほうがフツーじゃない。

そうなんだよね。なんにだって相応の理由がいる。危ないことや辛いことなら、なおさらだよね。

ラーヤ
ヨーコ

理由かあ。私にはそれが見つからないんだよね。毎日なに不自由なく暮らしてるし、お友だちだっているしお小遣いだってあるし。普通でも十分楽しいもの……。

流されるって、そういうことね。うんうん、わかる。
私は魔女だけど、正直それは血筋の都合だし、それでなにしていいやら見当もつかない。でも今はまだ、それでいいんじゃないかな。

ラーヤ
ヨーコ

え?

だって私たち、まだ子供だもん。将来やりたいことが決まっていればそれに越したことはないかもだけど、それが正しいかどうかだって、ホントのところはわかんない。
正しい答えっていうのはさ、たぶんもっと先の未来にあって、だからさっきも言ったように、今は実際になんでも知ってやってみて、そうやって学んでいるのが一番なんだよ。

ラーヤ

みんな答えを急ぎがちだし、急がされてばっかりだけど、本当の問題はそこ。正しい答えを出してくれる魔法なんてないし、手軽に見つけた答えにすがったってきっとうまくはいかない。
だからってなんにもしないのは一番だめだけど、じっくり悩んで悩んでそれでもだめならお外に出ていろんなことをしてみる。私たちの今の時間はそういうことに使うべきで、私はそれ自体に不安はないし、これが将来に絶対必要なんだって確信してる。

ラーヤ
ヨーコ

将来に必要……。

それとヨーコちゃんにはもう一つ。ちょっとの反抗っていうのも、大事じゃないかな。

ラーヤ
ヨーコ

反抗、ですか?

そおだよ。ヤなことはヤって大声で言わなきゃ。それくらい、普通は問題じゃないし、私はけっこうそうしてるよ。
だから怒られもするんだけど、なんかもう最近はヘのカッパ。そうやって拓ける道もあるんです!

ラーヤ
マイケル

そうとは限らない気もするが。

ヨーコ

なるほど、反抗ですか。確かにそれはしてきませんでした。
パパにもママにも言われるだけで、なんか反抗するのもめんどくさくて。でも確かにそれが、だらしなさかもしれません。
夢を叶えたいならちょっとやそっとの困難にめげてちゃダメ。自分の信念を押し通す勇気と胆力が必要ですね!

そのとおり! そのためには強い精神と健全な体が必要なんだよ! そういうわけでヨーコちゃんも一緒に踊ろう! 

ラーヤ

はい、ウッーウッーウマウマ! ウッーウッーウマウマ!! 

ラーヤ
マイケル

ふっる! いにしえすぎるだろそれは! キミの国はそういうのを見直せよ。

あと、反抗だなんて私が言ったって言っちゃダメよ? 民を誑かしたなんておじさまに知れたら、大噴火が起きて国が亡ぶわ。 

ラーヤ
ヨーコ

……大噴火も問題ですけど、たぶらかさないでくださいよお。

ヨーコ

……というわけで、ヨーコ・レッドスターがまた~りとお送りしましたちょっとフツーじゃないハナシ、今週はこのへんで!

マイケル

ラーヤは意外と考えてるよね。なんかぐうたらでどっちかって言ったら遊び人だなんて言われてるけど、ボクにはしっかり自分を持っているように思えたなあ。

ヨーコ

なんかいろいろ事情はあるようだったけど、確かに自分は持ってたわよね。そういうトコ、私も見習うことにする!

マイケル

でもヨーコ、あとが怖いって、なんのこと? さっきそういってたじゃん。

ヨーコ

ああ、パパとママよ。
このコーナー見られたら、なんと言われることやら。

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これが二面です。(調整(*´ε`*)チュッチュ)
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